精密農業とドローン

近年飛躍的な進展を遂げているドローン関連の世界市場は、現在中心であるホビー用や一部の業務用途から、精密農業、物流、監視、遠隔操作など適用範囲が広がり 2015 年で 44 億ドル、2020 年には 110 億ドル規模まで成長する(*1)ことが予測されています。
一方では、セキュリティやプライバシー、安全性確保のために技術的な成熟や法規制の整備が課題となっており、今後の市場成長に向けて単に機能の高度化のみならず、安心、安全な環境を確立することが急務となっています。また、ドローンを介した様々なデータを活用した IoT 時代の新しいサービスの確立のためにクラウドと連携するプラットフォームの必要性も唱えられるようになってきました。

(*1 : 出展 調査会社フロスト&サリバン)

 「精密農業」とは農地・農作物の状態を良く観察し、きめ細かく制御し、農作物の収量及び品質の向上を図り、その結果に基づき次年度の計画を立てる一連の農業管理手法(農林水産省)であり、米国などでは 2000 年代初頭より導入されている概念です。

世界の人口は 2050 年までに 96 億人を迎え、食糧・飼料の需要は現在の 2 倍になるという試算があります。日本の食糧自給率が 40 %と云われている一方世界に目を向けるとその自給率は 106 %と云われ、2025 年には 100 %を切ると云われています。斯様に世界的に食料需要が今後より急速に伸びていく中で、単位面積あたりの収穫量を増加させるニーズが顕在化しています。

農業のインテリジェンス化は、画像解析やリモートセンシングなどのツールを活用することで農場の状態情報のデータ化を行い、それを様々な視点・知見から分析することで、収穫量の増加や低農薬化、付加価値化などを実現するものであります。

米国では自動化・センシング化のツールとしてドローンが活用されており、調査の自動化や肥料量の分析、病気の診断と適切な農薬散布、灌漑などのメンテナンス費用の低減化などを実現することができ、米国連邦航空局(FAA)も、ドローンの農業活用には前向きな姿勢を見せています。

figure